- 2007-02-12
- やおい学者セージちゃん
「ウサタ〜〜〜ン!」
プロンテラで露店をまわってると、遠くからオレを呼ぶ声がした。
見なくても分かる、この呼び方をするのは例のうさみみセージしかいない。
息を切らしながら、そいつは手を振り振り駆け寄ってくる。
「おう、なんか久々だな。元気だったか?」
「はぁはぁ……夏コミで忙しくってー」
「夏コミ? ああ、コミケか」
こいつはまた薄くて高いホモエロ本を描いて売ってたんだろうか。
「今回はどんな内容なんだ?」
オレは一応、話を合わせてみる。
「ウサシン生体グリム本だよ!」
「へぇ、生体ねぇ」
俺は行けるようなレベルじゃないが、アサシンが生体研究所に行くとグリムトゥース狩りで時給10Mが出るという噂を聞いている。
「ウサシンが生体でカッコ良く活躍するホモ本なのか?」
見たいような見たくないような。
セージはエッ? という顔で真面目に答えた。
「ううん〜、ウサシン受けだよ。相手エレメスで〜」
……聞くんじゃなかった。やっぱ別に見たくねぇ。
「てかエレメスって誰だっけ」
「アサクロだよー」
「そ、そうか」
うっ、なんか想像しちまった。
そういやコイツ、オレと同じくらいのレベルじゃなかったっけ。
オレはちょっとドキドキしながら聞いてみた。
「生体に行ってきたのか?」
「ううん〜。行った人にSSを撮ってもらって見せてもらっちゃった」
……まぁ、そんなもんか。
「それよりねぇ」
セージは手に下げていた袋から、湯気の立つ深皿を取り出した。
「料理つくったの! 食べてー!」
俺はその中身を見て一歩後ずさる。
「え……これって……」
「触手のチーズグラタンだよ!」
お、おい。
たくさんある料理メニューの中から、よりにもよってソレなのかよ!
しかも、一歩ひいて眺めている俺の前で、チーズに埋もれている触手の一本がビクッて動いた。
え……ちょ……コレ、生きてる!
「……おい、触手が生きてんぞ」
「うんっ。生きの良いうちに食べてーーー!」
……い、生き悪ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
どうやったらこうなるんだよ! 生き悪すぎだろ!!
オレは青ざめたが、こいつは頬をちょっと赤らめて期待の眼差しで見てやがる。
うっ、なんかコレって「私の作ったお弁当を食べてっ☆」っていう少女漫画的なシチュエーションだよな。
だが、いくら女の子の手作りでもゲテモノ料理は喰えねぇ!
潔く断ろうとしたとき、カイからwisが届いた。
ちなみにカイってのはアサシンギルドにいるアサシンの先輩な。
(From カイ):『おい』
(To カイ):『な、何だ!?』
(From カイ):『触手グラタン、食べるよな?』
なっ……何故それを!
コイツ、クローキングでどっかから見てるのか!?
(From カイ):『据え膳食わぬは男の恥、だ』
(To カイ):『それ、本来の意味とちがくねぇか!』
(From カイ):『男は黙って女の料理を喰うものだ』
(To カイ):『ゲテモノ料理でもかよ!』
(From カイ):『当然だ』
くそー、他人事だと思いやがって!
(From カイ):『前にも忠告したが、その女セージはアサシン人気に大きな影響を与えるから、怒らせるな』
(To カイ):『てめー、それが本音だろ!』
(From カイ):『そうだ』
くそー!
な、何か、上手く断る方法はないものか!
あっ、そうだ!
「悪ぃけど、俺、今、お腹いっぱいなんだ。持って帰って、後で食っていいか?」
我ながら上手い!
もらうだけもらっておいて、今食わなきゃいいんだよな。
「ええ〜。今からこれ食べて一緒に狩り行こうと思ったのに」
「えっ……そ、そうか」
ああ、サヨナラ俺のグッドアイデア。
しかし、一緒に狩りってのは悪くないな。
どこに行くかが問題だが。
「じゃあ、一緒に狩り行くか。どっか行きたいトコロはあるか?」
とりあえず要望を聞いてみっか。
セージは即答した。
「コンロン2F! チーズが取れるよ!」
「いや、俺アサシンだからSP回復いらねぇし……」
「触手グラタンが作れるよ!」
いらねぇし。
てか触手から離れろ。
でもまぁ、他に思いつかなかったからコンロンに行くことにした。
1Fはドロップがうまいしな。
「じゃあ私がパーティー作るよ!」
「よろしく」
数秒後にパーティー要請が来た。
『アサシンハァハァ(*´Д`)』
……。
オレに、これに入れと?
しばらく時が止まったが、とりあえず承認しておいた。
いつもこんなパーティー名で遊んでるんか?
どうでもいいことだが、オレが今まで見た中で一番すごいパーティー名は『ギシギシアンアン』だったなぁ。これ実話。
ついでに友達登録要請が来たので、お互いに登録しあっておいた。
そういえば、初めて名前を知ったかも。
ペパーミント=セージなんだそうだ。
ペンネームみたいな名前だな。
むしろ、同人誌に載ってた名前がコレだった気がする。
いいのか、本名であの漫画描いて。
で、あいつの友達がコンロンポタ持ってるっていうんで、お願いした。
プリが来るのかと思ったら、シニヨンキャップのちっちゃいモンクがやってきて、なんか、こう、すげージロジロ見られた。
何なんだ……と思ったら、ポタ乗った後、モンクの変なセリフがログに残ってた。
『アサシンハァハァ』
……。
腐女子仲間かよ!
とりあえず、コンロンに着いて、芝生のベンチで触手グラタンを食うことになった。
まだ触手がピクピク動いてるんだが……。
オレがフォークで触手をツンツンしてると、あいつは普通に食べ始めた。
スパゲッティを食べるみたいに、フォークをくるくる回して触手とチーズをからめとって口に運んでる。
うう、これはオレも食わねばなるまい。
触手をブスブスと刺し(とどめのつもり)、思い切って口に運ぶ。
口の中に熱いチーズとコリコリした触手の食感が……。
「おっ、うまい」
意外とうまかった。甘口ソースがチーズに合ってて。
ホウジュンな味わいっていうの?
「ほんとー!? 良かったー!」
セージが笑顔でものすごく喜んでいる。
オレもそんなに喜んでもらえるなら、勇気を出して食って良かったよ。
一口食べると、残りはするすると胃に入った。
女の子の手料理、なんか新鮮だぜ……。
最近の世の中、変なアイテムやどうでもいいイベントばっかり増えてる気がするけど、これは悪くないな、うん。AGI+3だし。
食後は早速ダンジョンへ。
オレはセージに聞いた。
「桃、避けれるか?」
「避けれない」
「じゃあオレが先に行くから、タゲにならないようについてきてくれ」
「うんっ」
あいつが目をキラキラさせて頷いた。
おっ。ちょっと俺、頼もしくねぇ?
なんだか新鮮だ。
狩りは順調に続いた。
オレがターゲットをとって、あいつが後ろからボルトを打ち込む。
しみじみ思ったけど、やっぱ魔法は強い。たまにヒールももらったりして。ソロよりずいぶん楽だよな。
グラタンで身体が温まっててHPもSPも回復早いし。
うーん新鮮。
2時間ほど闘ってほどよく疲れたところで、狩りは終わった。
「さー、精算すっか!」
「うんっ」
道具屋へ行こうと町の中心街へ行くと、見た顔があった。
コンロンポタを出してくれたモンクだった。
「あら、ミントちゃん偶然〜」
そう言って寄ってきた。
いや、偶然じゃないだろ。オレらがココにいるの知ってるし。
「ほんまや! すっごい偶然!」
モンクの隣で、仲間らしいアルケミストが言った。
ピンク色のナメクジを連れている。ホムンクルスか?
こっちもモンク同様、オレのことをジロジロ見ている。
……腐女子仲間?
まぁ、決めつけるのも失礼だよな。
と思ったら、アルケミがこう言った。
「アサシンハァハァ」
……!?
いや、単にパーティー名を読み上げただけかも。
深く考えないでおこう。
とりあえず、アルケミが精算手伝ってくれるって言うからお願いした。マステラ・ローヤル・枝の買い取りもしてくれたしな、ありがてぇ。
「まいどあり〜」
なまりのあるしゃべり方でアルケミが言い、カートに商品を詰め込む。カートの中身がちょっと見えたんだが……あいつが作ってるような薄い本がぎっしり詰まってた気がする。しかも同じ本が。
……自分の本?
「じゃーオレはモロクに戻るわ」
女友達が集まってきたことだし、退散するかな。
「あっ、今日はアリガトね〜」
「こちらこそ、うまかった。また誘ってくれ」
セージがぱっと顔を輝かせた。
我ながら気の利いたことを言ったと思ったんだが。
またカイからお叱りのwisが来た。
(From カイ):『おい』
(To カイ):『な、何だ!?』
(From カイ):『何が誘ってくれ、だ。男からデートに誘え!』
こ、こいつ! まだ見てやがったか、暇人め!
そりゃーそうかもしれないけどさ、そもそもデートじゃないし!
(From カイ):『いいから、今すぐ次の約束を取り付けるんだ』
(To カイ):『んな強引な。そういうのって嫌われねぇか?』
オレがもごもごしてたら、目の前でモンクがアルケミを小突いて、何かを囁いていた。
普通は聞こえない言葉でも、アサシンだと訓練されてるから聞こえちゃったりするんだが……意図して盗み聞きした訳じゃなくて……。
『ちょっ……誘ってくれ、だって! アサシン誘い受け!』
『ほんまや! リアルで見れるとは思わんかったわ』
さ、誘い受け!?
よく分からんが、ふたりにはウケているようだ。
それを見ていたらしいカイは何も言わなくなった。
ありがてぇ。……のか?
そんな感じで蝶の羽で帰ろうとしたら。
突然、腹に猛烈な痛みが!
やっべ、これ……何だ!?
は、腹が……超痛ぇぇぇぇぇ!
たくさんの槍で胃の中を突かれてるような痛みだ!
思わず地面にうずくまると、セージも同じような格好でお腹を押さえて倒れ、うなっている。顔が青く、脂汗がびっしりだ。
「ミントちゃんっ、どーしたのっ!?」
「ふたりとも痛いんか!?」
こっ……これは……。
当たった!?
(From カイ):『食中毒だな』
冷静に言わなくても分かるっつーの!
うう、やっぱり生きた触手グラタンが……。ガクッ。
この後は結構大変だったんだが、まぁ、今は無事に終わったとだけ伝えておく。
今日は新鮮なことばっかりだったけど、食材は新鮮じゃなかったってことで。
当分、手料理はいらねぇ!
[> おあとがよろしいようで。
プロンテラで露店をまわってると、遠くからオレを呼ぶ声がした。
見なくても分かる、この呼び方をするのは例のうさみみセージしかいない。
息を切らしながら、そいつは手を振り振り駆け寄ってくる。
「おう、なんか久々だな。元気だったか?」
「はぁはぁ……夏コミで忙しくってー」
「夏コミ? ああ、コミケか」
こいつはまた薄くて高いホモエロ本を描いて売ってたんだろうか。
「今回はどんな内容なんだ?」
オレは一応、話を合わせてみる。
「ウサシン生体グリム本だよ!」
「へぇ、生体ねぇ」
俺は行けるようなレベルじゃないが、アサシンが生体研究所に行くとグリムトゥース狩りで時給10Mが出るという噂を聞いている。
「ウサシンが生体でカッコ良く活躍するホモ本なのか?」
見たいような見たくないような。
セージはエッ? という顔で真面目に答えた。
「ううん〜、ウサシン受けだよ。相手エレメスで〜」
……聞くんじゃなかった。やっぱ別に見たくねぇ。
「てかエレメスって誰だっけ」
「アサクロだよー」
「そ、そうか」
うっ、なんか想像しちまった。
そういやコイツ、オレと同じくらいのレベルじゃなかったっけ。
オレはちょっとドキドキしながら聞いてみた。
「生体に行ってきたのか?」
「ううん〜。行った人にSSを撮ってもらって見せてもらっちゃった」
……まぁ、そんなもんか。
「それよりねぇ」
セージは手に下げていた袋から、湯気の立つ深皿を取り出した。
「料理つくったの! 食べてー!」
俺はその中身を見て一歩後ずさる。
「え……これって……」
「触手のチーズグラタンだよ!」
お、おい。
たくさんある料理メニューの中から、よりにもよってソレなのかよ!
しかも、一歩ひいて眺めている俺の前で、チーズに埋もれている触手の一本がビクッて動いた。
え……ちょ……コレ、生きてる!
「……おい、触手が生きてんぞ」
「うんっ。生きの良いうちに食べてーーー!」
……い、生き悪ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
どうやったらこうなるんだよ! 生き悪すぎだろ!!
オレは青ざめたが、こいつは頬をちょっと赤らめて期待の眼差しで見てやがる。
うっ、なんかコレって「私の作ったお弁当を食べてっ☆」っていう少女漫画的なシチュエーションだよな。
だが、いくら女の子の手作りでもゲテモノ料理は喰えねぇ!
潔く断ろうとしたとき、カイからwisが届いた。
ちなみにカイってのはアサシンギルドにいるアサシンの先輩な。
(From カイ):『おい』
(To カイ):『な、何だ!?』
(From カイ):『触手グラタン、食べるよな?』
なっ……何故それを!
コイツ、クローキングでどっかから見てるのか!?
(From カイ):『据え膳食わぬは男の恥、だ』
(To カイ):『それ、本来の意味とちがくねぇか!』
(From カイ):『男は黙って女の料理を喰うものだ』
(To カイ):『ゲテモノ料理でもかよ!』
(From カイ):『当然だ』
くそー、他人事だと思いやがって!
(From カイ):『前にも忠告したが、その女セージはアサシン人気に大きな影響を与えるから、怒らせるな』
(To カイ):『てめー、それが本音だろ!』
(From カイ):『そうだ』
くそー!
な、何か、上手く断る方法はないものか!
あっ、そうだ!
「悪ぃけど、俺、今、お腹いっぱいなんだ。持って帰って、後で食っていいか?」
我ながら上手い!
もらうだけもらっておいて、今食わなきゃいいんだよな。
「ええ〜。今からこれ食べて一緒に狩り行こうと思ったのに」
「えっ……そ、そうか」
ああ、サヨナラ俺のグッドアイデア。
しかし、一緒に狩りってのは悪くないな。
どこに行くかが問題だが。
「じゃあ、一緒に狩り行くか。どっか行きたいトコロはあるか?」
とりあえず要望を聞いてみっか。
セージは即答した。
「コンロン2F! チーズが取れるよ!」
「いや、俺アサシンだからSP回復いらねぇし……」
「触手グラタンが作れるよ!」
いらねぇし。
てか触手から離れろ。
でもまぁ、他に思いつかなかったからコンロンに行くことにした。
1Fはドロップがうまいしな。
「じゃあ私がパーティー作るよ!」
「よろしく」
数秒後にパーティー要請が来た。
『アサシンハァハァ(*´Д`)』
……。
オレに、これに入れと?
しばらく時が止まったが、とりあえず承認しておいた。
いつもこんなパーティー名で遊んでるんか?
どうでもいいことだが、オレが今まで見た中で一番すごいパーティー名は『ギシギシアンアン』だったなぁ。これ実話。
ついでに友達登録要請が来たので、お互いに登録しあっておいた。
そういえば、初めて名前を知ったかも。
ペパーミント=セージなんだそうだ。
ペンネームみたいな名前だな。
むしろ、同人誌に載ってた名前がコレだった気がする。
いいのか、本名であの漫画描いて。
で、あいつの友達がコンロンポタ持ってるっていうんで、お願いした。
プリが来るのかと思ったら、シニヨンキャップのちっちゃいモンクがやってきて、なんか、こう、すげージロジロ見られた。
何なんだ……と思ったら、ポタ乗った後、モンクの変なセリフがログに残ってた。
『アサシンハァハァ』
……。
腐女子仲間かよ!
とりあえず、コンロンに着いて、芝生のベンチで触手グラタンを食うことになった。
まだ触手がピクピク動いてるんだが……。
オレがフォークで触手をツンツンしてると、あいつは普通に食べ始めた。
スパゲッティを食べるみたいに、フォークをくるくる回して触手とチーズをからめとって口に運んでる。
うう、これはオレも食わねばなるまい。
触手をブスブスと刺し(とどめのつもり)、思い切って口に運ぶ。
口の中に熱いチーズとコリコリした触手の食感が……。
「おっ、うまい」
意外とうまかった。甘口ソースがチーズに合ってて。
ホウジュンな味わいっていうの?
「ほんとー!? 良かったー!」
セージが笑顔でものすごく喜んでいる。
オレもそんなに喜んでもらえるなら、勇気を出して食って良かったよ。
一口食べると、残りはするすると胃に入った。
女の子の手料理、なんか新鮮だぜ……。
最近の世の中、変なアイテムやどうでもいいイベントばっかり増えてる気がするけど、これは悪くないな、うん。AGI+3だし。
食後は早速ダンジョンへ。
オレはセージに聞いた。
「桃、避けれるか?」
「避けれない」
「じゃあオレが先に行くから、タゲにならないようについてきてくれ」
「うんっ」
あいつが目をキラキラさせて頷いた。
おっ。ちょっと俺、頼もしくねぇ?
なんだか新鮮だ。
狩りは順調に続いた。
オレがターゲットをとって、あいつが後ろからボルトを打ち込む。
しみじみ思ったけど、やっぱ魔法は強い。たまにヒールももらったりして。ソロよりずいぶん楽だよな。
グラタンで身体が温まっててHPもSPも回復早いし。
うーん新鮮。
2時間ほど闘ってほどよく疲れたところで、狩りは終わった。
「さー、精算すっか!」
「うんっ」
道具屋へ行こうと町の中心街へ行くと、見た顔があった。
コンロンポタを出してくれたモンクだった。
「あら、ミントちゃん偶然〜」
そう言って寄ってきた。
いや、偶然じゃないだろ。オレらがココにいるの知ってるし。
「ほんまや! すっごい偶然!」
モンクの隣で、仲間らしいアルケミストが言った。
ピンク色のナメクジを連れている。ホムンクルスか?
こっちもモンク同様、オレのことをジロジロ見ている。
……腐女子仲間?
まぁ、決めつけるのも失礼だよな。
と思ったら、アルケミがこう言った。
「アサシンハァハァ」
……!?
いや、単にパーティー名を読み上げただけかも。
深く考えないでおこう。
とりあえず、アルケミが精算手伝ってくれるって言うからお願いした。マステラ・ローヤル・枝の買い取りもしてくれたしな、ありがてぇ。
「まいどあり〜」
なまりのあるしゃべり方でアルケミが言い、カートに商品を詰め込む。カートの中身がちょっと見えたんだが……あいつが作ってるような薄い本がぎっしり詰まってた気がする。しかも同じ本が。
……自分の本?
「じゃーオレはモロクに戻るわ」
女友達が集まってきたことだし、退散するかな。
「あっ、今日はアリガトね〜」
「こちらこそ、うまかった。また誘ってくれ」
セージがぱっと顔を輝かせた。
我ながら気の利いたことを言ったと思ったんだが。
またカイからお叱りのwisが来た。
(From カイ):『おい』
(To カイ):『な、何だ!?』
(From カイ):『何が誘ってくれ、だ。男からデートに誘え!』
こ、こいつ! まだ見てやがったか、暇人め!
そりゃーそうかもしれないけどさ、そもそもデートじゃないし!
(From カイ):『いいから、今すぐ次の約束を取り付けるんだ』
(To カイ):『んな強引な。そういうのって嫌われねぇか?』
オレがもごもごしてたら、目の前でモンクがアルケミを小突いて、何かを囁いていた。
普通は聞こえない言葉でも、アサシンだと訓練されてるから聞こえちゃったりするんだが……意図して盗み聞きした訳じゃなくて……。
『ちょっ……誘ってくれ、だって! アサシン誘い受け!』
『ほんまや! リアルで見れるとは思わんかったわ』
さ、誘い受け!?
よく分からんが、ふたりにはウケているようだ。
それを見ていたらしいカイは何も言わなくなった。
ありがてぇ。……のか?
そんな感じで蝶の羽で帰ろうとしたら。
突然、腹に猛烈な痛みが!
やっべ、これ……何だ!?
は、腹が……超痛ぇぇぇぇぇ!
たくさんの槍で胃の中を突かれてるような痛みだ!
思わず地面にうずくまると、セージも同じような格好でお腹を押さえて倒れ、うなっている。顔が青く、脂汗がびっしりだ。
「ミントちゃんっ、どーしたのっ!?」
「ふたりとも痛いんか!?」
こっ……これは……。
当たった!?
(From カイ):『食中毒だな』
冷静に言わなくても分かるっつーの!
うう、やっぱり生きた触手グラタンが……。ガクッ。
この後は結構大変だったんだが、まぁ、今は無事に終わったとだけ伝えておく。
今日は新鮮なことばっかりだったけど、食材は新鮮じゃなかったってことで。
当分、手料理はいらねぇ!
[> おあとがよろしいようで。
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