- 2008-02-14
- やおい学者セージちゃん
バレンタイン編 今回は続き物になります。前編を読んでいない方はこちらをどうぞ。
俺はプロンテラの街に来ていた。
ミントと直接会おうと思ってwisしてみたけど繋がらない。昨日、一緒に組んでたPTも抜けちまってた。
こうなると、直接探すしかない。
とりあえず首都でウロウロしている俺に、アサシンギルドのNPC・カイからwisが来た。
(From カイ):『私が目を離したスキに、大変なことをしでかしたようだな』
こいつはミントをアサシンギルドを盛り上げるための重要人物と見なしていて(というのもミントが『アサシンハァハァなホモ漫画』を描いていて、それが女性に大人気なんだからだそうだ)、俺をミントに色々けしかけたりしている。
最近連絡がないからホッとしてたら、やっぱりチェックはしてたのか。
(To カイ):『うるせー。今から仲直りしに行くとこなんだよ! 邪魔するなよ!?』
(From カイ):『それならいい。私は毎年、この時期は忙しい。後輩達がチョコを渡しに来るからアサシンギルドから一歩も動けんのだ』
さりげなくモテる自慢かよ!
女シーフや女アサシンや女アサクロがこぞってチョコをカイに渡す光景が目に浮かぶぜ……。
(To カイ):『そうだ。ミントがどこにいるか知らねぇか?』
(From カイ):『今はログインしてないようだな。プロンテラの噴水前でミントの友達が露店を開いているから、そいつに連絡をとっておくといい。パンダカートに旧タイプの進化形バミラミルトを連れた女アルケミストだ。髪型は亜麻色ストレート、大きなリボンをつけてる』
おい、なんでそんな詳しいんだよ。
ミントのストーカー能力も凄いが、コイツもたいがい怪しいよな。
でも、今はありがてぇ。
(To カイ):『サンキュー! 助かったぜ』
(From カイ):『そいつも腐女子だが、粗相のないようにしろよ。間違ってもキモいとか言うな』
(To カイ):『そんな失礼なこと、言うわけねぇだろ』
とりあえず噴水前でカイの言った通りの人物を見つけたが、俺はその異様な雰囲気に思わず足を止めた。カイの言った意味がなんとなく分かった。
……露店にこっそり自分の同人誌を混ぜて売ってやがる!
表紙はリアルに筋肉モリモリの半裸モンク。
いや、もともとモンクは半裸だけどさ。
『モンク輪姦本』とか書いてるし。
こんな昼間の大通りで堂々とホモエロ本を売って大丈夫なのか?
俺はためらったが、思い切って話しかけた。
「あのー」
アルケミが顔をあげる。
見たことある顔だった。前にミントとコンロンに行ったときに、精算してくれたコだ。
「ああ、ミントの……」
アルベルタの訛りのあるアクセント。どうやら俺を覚えてくれてたようだ。
「ミントに会いたいんだが、どこにいるか知らないか?」
「知ってるけど、ただでは教えられんなぁ」
アルケミは親指と人差し指で丸を作る。
なんか買えってことか。
俺は露店を眺める。SヘルムにSアーマーに高額カードばかり。城行ってます! って感じだ。
ぶっちゃけ、俺が使えるものも買えるものも売ってねぇ。
俺は消去法で残ったモンク輪姦本(18禁、800ゼニー)を指さした。
「…………それ下さい」
アルケミはニヤリと笑う。
「まいどあり。ミントは昨日、ぎょーさん青ジェム持ってフェイヨンに引き替えに行ってたから、今日はジュノーで油祭りやると思うで」
「あ、油!?」
あいつ、アブラカタブラ型セージだったのか?
そういえば、以前に型を聞いたら言葉を濁してたな。
確かに、一緒に狩りに行くのに『油型です!』とは言いにくい時代ではあるけどさ。
アブラカタブラは、それだけでセージスキルのすべてを使い切ってしまう。
聞いた話では、セージの全ての魔法をちょっとずつ中途半端に覚えさせられるらしい。なので、ネタスキルと呼ばれている。
俺はそこで気づいた。
属性付与をマスターしてなかったのは油型だからか!
悪いこと言っちまったな。
「あれ? 知らんかったん? ウチ、余計なこと言うたやろか」
「ああ、いや、それは黙っておくからいい」
俺は早速、ジュノーに向かおうとして、ふと気づいた。
「あのさ……袋とか持ってねぇ?」
さすがにホモエロ本を持って歩くのは恥ずかしい。
アルケミは爽やかな笑顔で言った。
「悪いんやけど、そんなもんはない」
うう。コレを持って首都の人混みを歩かないといけないのか。
どうか、カプラ倉庫に行くまで、知り合いに見つかりませんように……。
俺は飛行船からジュノーに降りたった。
前回、飛行船に乗ったときは、ミントと良い感じだった時だな。
思い出してちょっと切なくなっちまった。
いかん、これから仲直りするってのに弱気になってどうする。
もうログインしてるか分からねぇけど、wisして繋がってもどう切り出していいか迷うし、直接会ったほうがいいかな。
俺は足でミントを探すことにした。
たっぷり1時間後。
俺はまだ、ジュノーの街をさまよっていた。
つーか、ジュノー広すぎだろ!
施設も店もほとんどないし、クエストをしに来る奴くらいしか人がいねぇし。
とりあえず、カプラ前の広場で休憩。
しばらく休んでると、ふっと意識が途切れちまってた。
昨日の寝不足がたたっていつの間にか寝ちまったらしい。
うわぁ、俺、どれだけ疲れてんだよ。
頬をペチペチとはたく。
ふと、周りにいつの間にか人が増えてるのに気づいた。
視界にいくつかワープポータルが開き、人がやってくるのを見た。
転生職にプリとかクルセとかモンクとか。
なんかのイベントか? と思ったら、こんな声が聞こえた。
「ロードオブデスが出たってよ! 探せ!」
ロードオブデス!?
それって油で出たんじゃねーか?
俺は立ち上がった。
昼間の教訓で、歩いてたんじゃラチがあかねぇのは分かってる。
俺は倉庫からハエの羽を出す。
テレポでミント探すことにした。
ハエの羽を20コほど消費したとこで、ロードオブデスを発見した。
MEとかGXとかSGが乱発してて、様子がよく見えない。
必死で目をこらしていると、ちょっと離れたとこでこちらに背を向けて立っているうさみみセージを見つけた。
「ミントっ」
俺は叫んだ。
セージの後ろ姿がピクリと動く。
こっちを見るかと思いきや、いきなりそのまま走り出した。
ええっ!? 逃げるのかよ!? なんで!?
俺は慌てて後を追う。
「ま、待ってくれ! 仲直りしたくて……ってかごめん!」
セージがピタリと止まる。
「……ミントなんだろ? その、昨日は悪かった。許してくんねぇか?」
セージがうさみみを揺らしながら、背中を向けたまま喋る。
こっちは見てくれないが、声はちゃんとミントだ。
「う……ううん、私も悪かったの。確かに趣味スキルだし、あの後、友達に注意されちゃって……カタールも壊しちゃってごめんね」
「いいんだ、カタールくらい。それよりさ、」
俺は深呼吸して言った。
「おまえが好きなんだ。良かったら、付き合ってくんね?」
「う、ウサタン……」
俺はミントの背中を見た。
ミントは立ち止まったまま動かない。
振り向いてもくれない。
「……駄目なのか?」
「う、ううん……その、嬉しい」
……!
突然、俺に命令する声が聞こえた。
(From カイ):『今だ、押し倒せ!』
……ってえええ!
カイかよ! いつの間に見てやがったんだ!
(From カイ):『今から突き合……もとい付き合え!』
(To カイ):『あ、アホかー!!』
(From カイ):『冗談だ、とりあえずキスしておけ』
(To カイ):『“とりあえず”することがキスなのかよ!』
い、いかん。ついWISに反応しちまった。
もう外野は放っておこう。切っちまえ。
「あのさ、とりあえずこっち向いてくれないか?」
返ってきたのは意外な答え。
「え……えーと、今は、その、無理」
む、無理!?
「な、なんで……それって返事はNOってことなのか?」
「いや、あの、私もウサタンのこと好きだし、嬉しいんだけど、今は顔を見れないの」
ど、どういうことだ?
……単に恥ずかしがってるだけか?
俺はミントの肩に手をかけて、こちらを振り向かせる。
そして、後悔した。
その顔は、白い牙をむいたオークの顔だった。
緑色の顔の中、赤い目がぎょろりと俺を見る。
うわぁぁぁぁぁぁ!
油で出てくる技のひとつ、オーキッシュフェイス!
「うわーん! だから今は無理だって言ったのに!」
ミントが俺の反応に泣き出した。
「あわわ、わ、悪かった! それならそうと言ってくれれば!」
でも、言われたら言われたで告白どころじゃなくなるか。
泣きながらも、ミントは頬を赤らめている。
俺も恥ずかしくて顔が赤いのが移りそうになってきた。
まぁ、顔は緑色のオークなんだけどさ。
それから俺は、ミントをなだめるのに苦労した。
女心は難しいぜ……。
という訳で、俺とミントは晴れて恋人同士になった。
時々、カイに口を挟まれたり、ミントが同人誌に使うとかいって変なポーズとらされてデッサンされたりしてるけど。
ま、仲良くやってる。
[>ひとまず、完。
俺はプロンテラの街に来ていた。
ミントと直接会おうと思ってwisしてみたけど繋がらない。昨日、一緒に組んでたPTも抜けちまってた。
こうなると、直接探すしかない。
とりあえず首都でウロウロしている俺に、アサシンギルドのNPC・カイからwisが来た。
(From カイ):『私が目を離したスキに、大変なことをしでかしたようだな』
こいつはミントをアサシンギルドを盛り上げるための重要人物と見なしていて(というのもミントが『アサシンハァハァなホモ漫画』を描いていて、それが女性に大人気なんだからだそうだ)、俺をミントに色々けしかけたりしている。
最近連絡がないからホッとしてたら、やっぱりチェックはしてたのか。
(To カイ):『うるせー。今から仲直りしに行くとこなんだよ! 邪魔するなよ!?』
(From カイ):『それならいい。私は毎年、この時期は忙しい。後輩達がチョコを渡しに来るからアサシンギルドから一歩も動けんのだ』
さりげなくモテる自慢かよ!
女シーフや女アサシンや女アサクロがこぞってチョコをカイに渡す光景が目に浮かぶぜ……。
(To カイ):『そうだ。ミントがどこにいるか知らねぇか?』
(From カイ):『今はログインしてないようだな。プロンテラの噴水前でミントの友達が露店を開いているから、そいつに連絡をとっておくといい。パンダカートに旧タイプの進化形バミラミルトを連れた女アルケミストだ。髪型は亜麻色ストレート、大きなリボンをつけてる』
おい、なんでそんな詳しいんだよ。
ミントのストーカー能力も凄いが、コイツもたいがい怪しいよな。
でも、今はありがてぇ。
(To カイ):『サンキュー! 助かったぜ』
(From カイ):『そいつも腐女子だが、粗相のないようにしろよ。間違ってもキモいとか言うな』
(To カイ):『そんな失礼なこと、言うわけねぇだろ』
とりあえず噴水前でカイの言った通りの人物を見つけたが、俺はその異様な雰囲気に思わず足を止めた。カイの言った意味がなんとなく分かった。
……露店にこっそり自分の同人誌を混ぜて売ってやがる!
表紙はリアルに筋肉モリモリの半裸モンク。
いや、もともとモンクは半裸だけどさ。
『モンク輪姦本』とか書いてるし。
こんな昼間の大通りで堂々とホモエロ本を売って大丈夫なのか?
俺はためらったが、思い切って話しかけた。
「あのー」
アルケミが顔をあげる。
見たことある顔だった。前にミントとコンロンに行ったときに、精算してくれたコだ。
「ああ、ミントの……」
アルベルタの訛りのあるアクセント。どうやら俺を覚えてくれてたようだ。
「ミントに会いたいんだが、どこにいるか知らないか?」
「知ってるけど、ただでは教えられんなぁ」
アルケミは親指と人差し指で丸を作る。
なんか買えってことか。
俺は露店を眺める。SヘルムにSアーマーに高額カードばかり。城行ってます! って感じだ。
ぶっちゃけ、俺が使えるものも買えるものも売ってねぇ。
俺は消去法で残ったモンク輪姦本(18禁、800ゼニー)を指さした。
「…………それ下さい」
アルケミはニヤリと笑う。
「まいどあり。ミントは昨日、ぎょーさん青ジェム持ってフェイヨンに引き替えに行ってたから、今日はジュノーで油祭りやると思うで」
「あ、油!?」
あいつ、アブラカタブラ型セージだったのか?
そういえば、以前に型を聞いたら言葉を濁してたな。
確かに、一緒に狩りに行くのに『油型です!』とは言いにくい時代ではあるけどさ。
アブラカタブラは、それだけでセージスキルのすべてを使い切ってしまう。
聞いた話では、セージの全ての魔法をちょっとずつ中途半端に覚えさせられるらしい。なので、ネタスキルと呼ばれている。
俺はそこで気づいた。
属性付与をマスターしてなかったのは油型だからか!
悪いこと言っちまったな。
「あれ? 知らんかったん? ウチ、余計なこと言うたやろか」
「ああ、いや、それは黙っておくからいい」
俺は早速、ジュノーに向かおうとして、ふと気づいた。
「あのさ……袋とか持ってねぇ?」
さすがにホモエロ本を持って歩くのは恥ずかしい。
アルケミは爽やかな笑顔で言った。
「悪いんやけど、そんなもんはない」
うう。コレを持って首都の人混みを歩かないといけないのか。
どうか、カプラ倉庫に行くまで、知り合いに見つかりませんように……。
俺は飛行船からジュノーに降りたった。
前回、飛行船に乗ったときは、ミントと良い感じだった時だな。
思い出してちょっと切なくなっちまった。
いかん、これから仲直りするってのに弱気になってどうする。
もうログインしてるか分からねぇけど、wisして繋がってもどう切り出していいか迷うし、直接会ったほうがいいかな。
俺は足でミントを探すことにした。
たっぷり1時間後。
俺はまだ、ジュノーの街をさまよっていた。
つーか、ジュノー広すぎだろ!
施設も店もほとんどないし、クエストをしに来る奴くらいしか人がいねぇし。
とりあえず、カプラ前の広場で休憩。
しばらく休んでると、ふっと意識が途切れちまってた。
昨日の寝不足がたたっていつの間にか寝ちまったらしい。
うわぁ、俺、どれだけ疲れてんだよ。
頬をペチペチとはたく。
ふと、周りにいつの間にか人が増えてるのに気づいた。
視界にいくつかワープポータルが開き、人がやってくるのを見た。
転生職にプリとかクルセとかモンクとか。
なんかのイベントか? と思ったら、こんな声が聞こえた。
「ロードオブデスが出たってよ! 探せ!」
ロードオブデス!?
それって油で出たんじゃねーか?
俺は立ち上がった。
昼間の教訓で、歩いてたんじゃラチがあかねぇのは分かってる。
俺は倉庫からハエの羽を出す。
テレポでミント探すことにした。
ハエの羽を20コほど消費したとこで、ロードオブデスを発見した。
MEとかGXとかSGが乱発してて、様子がよく見えない。
必死で目をこらしていると、ちょっと離れたとこでこちらに背を向けて立っているうさみみセージを見つけた。
「ミントっ」
俺は叫んだ。
セージの後ろ姿がピクリと動く。
こっちを見るかと思いきや、いきなりそのまま走り出した。
ええっ!? 逃げるのかよ!? なんで!?
俺は慌てて後を追う。
「ま、待ってくれ! 仲直りしたくて……ってかごめん!」
セージがピタリと止まる。
「……ミントなんだろ? その、昨日は悪かった。許してくんねぇか?」
セージがうさみみを揺らしながら、背中を向けたまま喋る。
こっちは見てくれないが、声はちゃんとミントだ。
「う……ううん、私も悪かったの。確かに趣味スキルだし、あの後、友達に注意されちゃって……カタールも壊しちゃってごめんね」
「いいんだ、カタールくらい。それよりさ、」
俺は深呼吸して言った。
「おまえが好きなんだ。良かったら、付き合ってくんね?」
「う、ウサタン……」
俺はミントの背中を見た。
ミントは立ち止まったまま動かない。
振り向いてもくれない。
「……駄目なのか?」
「う、ううん……その、嬉しい」
……!
突然、俺に命令する声が聞こえた。
(From カイ):『今だ、押し倒せ!』
……ってえええ!
カイかよ! いつの間に見てやがったんだ!
(From カイ):『今から突き合……もとい付き合え!』
(To カイ):『あ、アホかー!!』
(From カイ):『冗談だ、とりあえずキスしておけ』
(To カイ):『“とりあえず”することがキスなのかよ!』
い、いかん。ついWISに反応しちまった。
もう外野は放っておこう。切っちまえ。
「あのさ、とりあえずこっち向いてくれないか?」
返ってきたのは意外な答え。
「え……えーと、今は、その、無理」
む、無理!?
「な、なんで……それって返事はNOってことなのか?」
「いや、あの、私もウサタンのこと好きだし、嬉しいんだけど、今は顔を見れないの」
ど、どういうことだ?
……単に恥ずかしがってるだけか?
俺はミントの肩に手をかけて、こちらを振り向かせる。
そして、後悔した。
その顔は、白い牙をむいたオークの顔だった。
緑色の顔の中、赤い目がぎょろりと俺を見る。
うわぁぁぁぁぁぁ!
油で出てくる技のひとつ、オーキッシュフェイス!
「うわーん! だから今は無理だって言ったのに!」
ミントが俺の反応に泣き出した。
「あわわ、わ、悪かった! それならそうと言ってくれれば!」
でも、言われたら言われたで告白どころじゃなくなるか。
泣きながらも、ミントは頬を赤らめている。
俺も恥ずかしくて顔が赤いのが移りそうになってきた。
まぁ、顔は緑色のオークなんだけどさ。
それから俺は、ミントをなだめるのに苦労した。
女心は難しいぜ……。
という訳で、俺とミントは晴れて恋人同士になった。
時々、カイに口を挟まれたり、ミントが同人誌に使うとかいって変なポーズとらされてデッサンされたりしてるけど。
ま、仲良くやってる。
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