- 2007-05-03
- Novel
フォルダをあさっていたら恥ずかしいクルセ子萌えSSが出てきたので載せておきます。
黒いシスター服の裾を揺らしながら、看護帽を頭に載せた青髪のプリーストが、プロンテラ教会の廊下を歩いていく。周りに人気はなく、静かでがらんとした建物の中、靴音だけがカツンカツンと響く。
「プリースト殿」
教会内に並べられた長椅子のひとつに、頭のてっぺんからつま先までを頑丈な鎧で覆ったクルセイダーが座っており、彼女に声をかけた。聖騎士の顔は兜とアイアンケインに覆われていて見えないが、声から女性だということが分かる。
「あら、お久しぶり」
プリーストは微笑みで応え、彼女の隣に腰を掛ける。クルセ子の大柄な体格と甲冑のせいで、普通の体型であるプリの姿がやたら小さく見える。
「最近、貴女の噂をよく耳にするわ。テロの鎮圧に活躍しているみたいね」
「ああ、仕事だからな」
クルセ子はさらりと流すが、プリは彼女がどれだけ一生懸命に街の人々を守ろうとしているかを知っている。街にモンスターが現れたとき、ボスだろうが魔剣だろうが、常に危険も省みず第一線で剣を振るう。
「実は、悩みがあってな」
落ち着いた声で、堅苦しい言葉遣いで話す。プリは彼女のそんな所も気に入っていた。
「私で良ければ、いくらでも聞きますよ」
穏やかな笑みを浮かべ、クルセ子の肩にもたれかかる。端から見ると、恋人同士のような風景だ。
「それじゃ……」
クルセ子は口を開く。その内容は、実に衝撃的で、かつ微笑ましいものだった。
「最近、ある殿方とよく出かけるのだが……なんだか恥ずかしくて、顔を合わせられないのだ。戦いの前みたいに胸がドキドキして、まともに話もできない。その殿方のことは好きだから、どうにか一緒に狩りができるようになりたいのだが……これは何かの病気なのか……どうすれば治るか、知っているか?」
クルセ子は、鎧に守られた指先を弄りながら尋ねる。プリーストは噴き出した。
「それはね、恋っていうのよ」
クルセ子は思わず顔をあげ、上擦った声で叫ぶ。
「こ、こ、こ、恋!?」
「そっ。貴女、恋したことないの?」
「い、いや、私は……今まで、剣を振るうことしかしなかったから……そういうのは……」
頼りない様子で答え、沈黙する。恐らく、アイアンケインの下では、赤面しているに違いない。
「ふふ。そっか、初恋なのね。おめでとう」
プリは幼なじみの親友に、素直に祝福を述べる。
「クルセ子が男性に興味を持つなんて……ちょっと嬉しいわ」
「あぁ……えっと、それで、どうすればいいと思う?」
「恋の病はねぇ……告白しなきゃ治らないんじゃない?」
「こ、告白か……」
クルセ子は少し考え込み、立ち上がる。
「……では、行って来る」
「えっ……今から!?」
プリは慌てて後を追う。そういえば、このクルセ子は、やるべきことはすぐ実行する生真面目な性格でもあった。
「あ、あの、頑張って!」
あまりにも咄嗟で応援の言葉も思いつかず、ブレッシングと速度増加をかけながら、プリはそれだけを呟く。そして、はっと気が付いて一言。
「あっ……。兜とアイアンケインは脱いだほうがいいかも……」
クルセ子は思わず立ち止まる。
「あ、ああ……そうだな……」
その場でいかつい兜を脱ぎ、アイアンケインを外す。艶やかな緋色の長髪が肩に落ち、端正な顔立ちが光の下に現れる。プリは思わず見とれた。
クルセ子はブラウンの瞳でプリを見ると、にっこりと微笑んだ。
「それじゃ、行って来る」
そして、クルセ子はマントを翻し、春の陽光に溢れたプロンテラの街へと出ていった。
【おわり】
黒いシスター服の裾を揺らしながら、看護帽を頭に載せた青髪のプリーストが、プロンテラ教会の廊下を歩いていく。周りに人気はなく、静かでがらんとした建物の中、靴音だけがカツンカツンと響く。
「プリースト殿」
教会内に並べられた長椅子のひとつに、頭のてっぺんからつま先までを頑丈な鎧で覆ったクルセイダーが座っており、彼女に声をかけた。聖騎士の顔は兜とアイアンケインに覆われていて見えないが、声から女性だということが分かる。
「あら、お久しぶり」
プリーストは微笑みで応え、彼女の隣に腰を掛ける。クルセ子の大柄な体格と甲冑のせいで、普通の体型であるプリの姿がやたら小さく見える。
「最近、貴女の噂をよく耳にするわ。テロの鎮圧に活躍しているみたいね」
「ああ、仕事だからな」
クルセ子はさらりと流すが、プリは彼女がどれだけ一生懸命に街の人々を守ろうとしているかを知っている。街にモンスターが現れたとき、ボスだろうが魔剣だろうが、常に危険も省みず第一線で剣を振るう。
「実は、悩みがあってな」
落ち着いた声で、堅苦しい言葉遣いで話す。プリは彼女のそんな所も気に入っていた。
「私で良ければ、いくらでも聞きますよ」
穏やかな笑みを浮かべ、クルセ子の肩にもたれかかる。端から見ると、恋人同士のような風景だ。
「それじゃ……」
クルセ子は口を開く。その内容は、実に衝撃的で、かつ微笑ましいものだった。
「最近、ある殿方とよく出かけるのだが……なんだか恥ずかしくて、顔を合わせられないのだ。戦いの前みたいに胸がドキドキして、まともに話もできない。その殿方のことは好きだから、どうにか一緒に狩りができるようになりたいのだが……これは何かの病気なのか……どうすれば治るか、知っているか?」
クルセ子は、鎧に守られた指先を弄りながら尋ねる。プリーストは噴き出した。
「それはね、恋っていうのよ」
クルセ子は思わず顔をあげ、上擦った声で叫ぶ。
「こ、こ、こ、恋!?」
「そっ。貴女、恋したことないの?」
「い、いや、私は……今まで、剣を振るうことしかしなかったから……そういうのは……」
頼りない様子で答え、沈黙する。恐らく、アイアンケインの下では、赤面しているに違いない。
「ふふ。そっか、初恋なのね。おめでとう」
プリは幼なじみの親友に、素直に祝福を述べる。
「クルセ子が男性に興味を持つなんて……ちょっと嬉しいわ」
「あぁ……えっと、それで、どうすればいいと思う?」
「恋の病はねぇ……告白しなきゃ治らないんじゃない?」
「こ、告白か……」
クルセ子は少し考え込み、立ち上がる。
「……では、行って来る」
「えっ……今から!?」
プリは慌てて後を追う。そういえば、このクルセ子は、やるべきことはすぐ実行する生真面目な性格でもあった。
「あ、あの、頑張って!」
あまりにも咄嗟で応援の言葉も思いつかず、ブレッシングと速度増加をかけながら、プリはそれだけを呟く。そして、はっと気が付いて一言。
「あっ……。兜とアイアンケインは脱いだほうがいいかも……」
クルセ子は思わず立ち止まる。
「あ、ああ……そうだな……」
その場でいかつい兜を脱ぎ、アイアンケインを外す。艶やかな緋色の長髪が肩に落ち、端正な顔立ちが光の下に現れる。プリは思わず見とれた。
クルセ子はブラウンの瞳でプリを見ると、にっこりと微笑んだ。
「それじゃ、行って来る」
そして、クルセ子はマントを翻し、春の陽光に溢れたプロンテラの街へと出ていった。
【おわり】
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