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Rag-Fes41「ふたつの世界」サンプル

「極秘取引」 Rag-Fes41新刊、合同誌サンプル。一般向け。冒頭から2ページ分です。


『人を部屋に呼ぶので、一度ギルドに入れますね』
若草色の長髪を背中で三つ編みにした男クリエイター、ラミはギルドチャットでそう告げた。

 ここは空中都市ジュノーに隣接した地区、ニダヴェリール。攻城戦に勝ったギルドが根城にする場所であり、砦を所有するギルドのメンバーでなければ中には入れない。従って、ラミが客人を部屋に招くには、一度ギルドに入れる必要があった。

『そいつ女?』

ギルドメンバーからの、お決まりの問いかけ。ラミは新緑のように明るい黄緑色の目を客人に向ける。
 白髪(はくはつ)の上に船長の帽子を載せたアルケミストの少年は、ラミと目が合うとにっこりと笑った。

『男ですよ』

名前はディア。ラミの取引相手だ。

『何だよ、男かよ!』
『そうですね』

「ねえ。女だったらどうなるの?」

ギルド会話を聞いていたディアの、南の海のような青緑色(エメラルドグリーン)の瞳がラミを見る。ラミは表情をぴくりとも変えずに即答した。
「犯されます」

ディアも表情を変えることなく、好奇に満ちた目をして聞く。

「それじゃ、男だったら?」
「殺されます」

女は犯す、男は殺す。攻城戦どころか街や狩り場までも荒らしてきたこのギルドは、国内では嫌がらせギルドとして通っており、外聞に相応しい粗暴なギルドルールを持っていた。
 怯える様子も無く、ディアは笑顔のままだ。

「物騒だね」

それでも、ラミが取引の場所に砦の自室を指定したのは、情報が外部に漏れない場所という理由からだった。砦の中なら、お国や外部の人間の目に触れず、干渉もされない。

 ディアは初めて入る砦の内部を見渡す。灰色の石造りの天井は高く、廊下には彫刻を施された柱が並び、部屋には高そうな調度品と家具が並ぶ。ただ、ラミの部屋の中央には手術台が、壁際には薬品棚が並び、そこだけが雑然とした雰囲気だった。

「彼らが来る前に済ませましょう」

ラミが『極秘』と朱色のスタンプを押された厚い書類をテーブルに置くと、ディアは同じ部屋の男ホワイトスミスを指さした。

「あの人が居るけど、いいの?」

素知らぬ顔で窓際の椅子に座ってダラダラしていたホワイトスミスは、視線に気付いて、子供のように背が低い二人を見た。

「彼は事情を知っているので大丈夫ですよ」
「情報を漏らさない?」

「ないない。俺はコイツが心配なだけ」
ホワイトスミスがラミを指さし、おどけた口調で言葉をはさんだ。ただし、視線は油断無くディアのほうを向いている。
 男は商売人の常で、ディアの笑顔が繕ったものだと見抜いていて、ルームメイトであるラミの身を案じているのだった。

「そう? それじゃ」

ディアは腰に着けたポーチから薬草の束をテーブルに置いた。
 二人は机上で品物を交換し、互いに本物かどうかを検分する。
 ディアは書類をパラパラとめくり、一瞬、青緑色の瞳をぎらつかせたかと思うと、直後には笑顔に戻ってポーチにしまった。

「よく手に入ったね」
「両親がここに居るので」
「へえ、働いてるの」

ラミは神秘の草を凝視して、隅々までチェックする。やがて本物だと判断すると、厚いガラスの保存瓶に薬草を詰めた。

「貴方こそ、これをどこで?」
「ずっと倉庫の中で眠ってたんだ。どうしてあったのかも覚えてないよ」
「そうですか」

ラミははぐらかされたと思ったが、深くは追及しなかった。

「本当に助かったよ。ラミ、ありがとう」
ディアはわざとらしく明るい笑顔を作り、ラミの両手を握る。

 ガタリッ、と椅子から立ち上がる音がして、ディアは視界の端でホワイトスミスが動くのを見た。剣呑な表情で二人のもとへ向かう視線はディアの予想通り嫉妬に満ちていて、思わず心の中で笑う。ディアがホワイトスミスに微笑みかけると、ホワイトスミスの視線はさらに険しくなった。ホワイトスミスはラミを引き寄せ『しっしっ』と手で追い払う仕草をする。

 ディアは笑顔のまま、ラミの肩を抱くホワイトスミスの肘をコンッと小突く。表皮に近い神経を突かれ、腕にビリッと電気が走ったホワイトスミスは「イテッ」と言って肘を抱える。

「クソが! ……終わったんなら帰れよ。死ぬ前に、な?」
「ちょっと遅かったみたいだよ」

足早に歩く堅いヒールの音が廊下から聞こえ、直後には金色の甲冑の女パラディンが部屋に入った。

「君! ギルド入らない?」

銀色の髪をポニーテールに結い上げ、赤い目の片方に眼帯をしたギルドマスター、ルイーゼは言葉を続ける。

「ちょうどクリエが欲しかったんだ。それに」

アルビノの赤い目がディアを射抜き、紅を引いた唇の口角が上がる。かなりの美人なだけに、その笑みには凄みがあった。

「うちは『人間じゃなくても』OKだよ」

ホワイトスミスが『何言ってんだ』という顔で横槍を入れる。

「マスターは新しい男を喰いたいだけだろ」

ディアはルイーゼと同じ不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。

「やだなあ。僕は人間だよ。『生まれつきの君と違って』ね」

ホワイトスミスは少し怪訝な顔をして二人を見、ラミは黙ってやりとりを眺めていた。


→→→本誌に続く→→→

◆にら玉丼さんのキャラと私のキャラが殺しあう小説です。安心の一般向け。あと中二病です。
◆このサンプルは読みやすいように空白と(ルビ)を入れています。

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