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2008年02月

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やおい学者セージちゃん(7)

バレンタイン編 今回は続き物になります。前編を読んでいない方はこちらをどうぞ。



 俺はプロンテラの街に来ていた。

 ミントと直接会おうと思ってwisしてみたけど繋がらない。昨日、一緒に組んでたPTも抜けちまってた。
 こうなると、直接探すしかない。

 とりあえず首都でウロウロしている俺に、アサシンギルドのNPC・カイからwisが来た。

(From カイ):『私が目を離したスキに、大変なことをしでかしたようだな』

 こいつはミントをアサシンギルドを盛り上げるための重要人物と見なしていて(というのもミントが『アサシンハァハァなホモ漫画』を描いていて、それが女性に大人気なんだからだそうだ)、俺をミントに色々けしかけたりしている。

 最近連絡がないからホッとしてたら、やっぱりチェックはしてたのか。

(To カイ):『うるせー。今から仲直りしに行くとこなんだよ! 邪魔するなよ!?』
(From カイ):『それならいい。私は毎年、この時期は忙しい。後輩達がチョコを渡しに来るからアサシンギルドから一歩も動けんのだ』

 さりげなくモテる自慢かよ!
 女シーフや女アサシンや女アサクロがこぞってチョコをカイに渡す光景が目に浮かぶぜ……。

(To カイ):『そうだ。ミントがどこにいるか知らねぇか?』

(From カイ):『今はログインしてないようだな。プロンテラの噴水前でミントの友達が露店を開いているから、そいつに連絡をとっておくといい。パンダカートに旧タイプの進化形バミラミルトを連れた女アルケミストだ。髪型は亜麻色ストレート、大きなリボンをつけてる』

 おい、なんでそんな詳しいんだよ。
 ミントのストーカー能力も凄いが、コイツもたいがい怪しいよな。
 でも、今はありがてぇ。

(To カイ):『サンキュー! 助かったぜ』
(From カイ):『そいつも腐女子だが、粗相のないようにしろよ。間違ってもキモいとか言うな』
(To カイ):『そんな失礼なこと、言うわけねぇだろ』

 とりあえず噴水前でカイの言った通りの人物を見つけたが、俺はその異様な雰囲気に思わず足を止めた。カイの言った意味がなんとなく分かった。

 ……露店にこっそり自分の同人誌を混ぜて売ってやがる!

 表紙はリアルに筋肉モリモリの半裸モンク。
 いや、もともとモンクは半裸だけどさ。
 『モンク輪姦本』とか書いてるし。
 こんな昼間の大通りで堂々とホモエロ本を売って大丈夫なのか?

 俺はためらったが、思い切って話しかけた。

「あのー」

 アルケミが顔をあげる。
 見たことある顔だった。前にミントとコンロンに行ったときに、精算してくれたコだ。

「ああ、ミントの……」

 アルベルタの訛りのあるアクセント。どうやら俺を覚えてくれてたようだ。

「ミントに会いたいんだが、どこにいるか知らないか?」

「知ってるけど、ただでは教えられんなぁ」

 アルケミは親指と人差し指で丸を作る。
 なんか買えってことか。
 俺は露店を眺める。SヘルムにSアーマーに高額カードばかり。城行ってます! って感じだ。
 ぶっちゃけ、俺が使えるものも買えるものも売ってねぇ。
 俺は消去法で残ったモンク輪姦本(18禁、800ゼニー)を指さした。

「…………それ下さい」

 アルケミはニヤリと笑う。

「まいどあり。ミントは昨日、ぎょーさん青ジェム持ってフェイヨンに引き替えに行ってたから、今日はジュノーで油祭りやると思うで」

「あ、油!?」

 あいつ、アブラカタブラ型セージだったのか?
 そういえば、以前に型を聞いたら言葉を濁してたな。

 確かに、一緒に狩りに行くのに『油型です!』とは言いにくい時代ではあるけどさ。

 アブラカタブラは、それだけでセージスキルのすべてを使い切ってしまう。
 聞いた話では、セージの全ての魔法をちょっとずつ中途半端に覚えさせられるらしい。なので、ネタスキルと呼ばれている。

 俺はそこで気づいた。

 属性付与をマスターしてなかったのは油型だからか!
 悪いこと言っちまったな。

「あれ? 知らんかったん? ウチ、余計なこと言うたやろか」

「ああ、いや、それは黙っておくからいい」

 俺は早速、ジュノーに向かおうとして、ふと気づいた。

「あのさ……袋とか持ってねぇ?」

 さすがにホモエロ本を持って歩くのは恥ずかしい。
 アルケミは爽やかな笑顔で言った。

「悪いんやけど、そんなもんはない」

 うう。コレを持って首都の人混みを歩かないといけないのか。
 どうか、カプラ倉庫に行くまで、知り合いに見つかりませんように……。



 俺は飛行船からジュノーに降りたった。
 前回、飛行船に乗ったときは、ミントと良い感じだった時だな。
 思い出してちょっと切なくなっちまった。
 いかん、これから仲直りするってのに弱気になってどうする。

 もうログインしてるか分からねぇけど、wisして繋がってもどう切り出していいか迷うし、直接会ったほうがいいかな。
 俺は足でミントを探すことにした。


 たっぷり1時間後。
 俺はまだ、ジュノーの街をさまよっていた。
 つーか、ジュノー広すぎだろ!
 施設も店もほとんどないし、クエストをしに来る奴くらいしか人がいねぇし。
 とりあえず、カプラ前の広場で休憩。

 しばらく休んでると、ふっと意識が途切れちまってた。
 昨日の寝不足がたたっていつの間にか寝ちまったらしい。
 うわぁ、俺、どれだけ疲れてんだよ。
 頬をペチペチとはたく。

 ふと、周りにいつの間にか人が増えてるのに気づいた。
 視界にいくつかワープポータルが開き、人がやってくるのを見た。
 転生職にプリとかクルセとかモンクとか。
 なんかのイベントか? と思ったら、こんな声が聞こえた。

「ロードオブデスが出たってよ! 探せ!」

 ロードオブデス!?
 それって油で出たんじゃねーか?

 俺は立ち上がった。
 昼間の教訓で、歩いてたんじゃラチがあかねぇのは分かってる。
 俺は倉庫からハエの羽を出す。
 テレポでミント探すことにした。

 ハエの羽を20コほど消費したとこで、ロードオブデスを発見した。
 MEとかGXとかSGが乱発してて、様子がよく見えない。

 必死で目をこらしていると、ちょっと離れたとこでこちらに背を向けて立っているうさみみセージを見つけた。

「ミントっ」

 俺は叫んだ。
 セージの後ろ姿がピクリと動く。
 こっちを見るかと思いきや、いきなりそのまま走り出した。

 ええっ!? 逃げるのかよ!? なんで!?

 俺は慌てて後を追う。

「ま、待ってくれ! 仲直りしたくて……ってかごめん!」

 セージがピタリと止まる。

「……ミントなんだろ? その、昨日は悪かった。許してくんねぇか?」

 セージがうさみみを揺らしながら、背中を向けたまま喋る。
 こっちは見てくれないが、声はちゃんとミントだ。

「う……ううん、私も悪かったの。確かに趣味スキルだし、あの後、友達に注意されちゃって……カタールも壊しちゃってごめんね」

「いいんだ、カタールくらい。それよりさ、」

 俺は深呼吸して言った。

「おまえが好きなんだ。良かったら、付き合ってくんね?」

「う、ウサタン……」

 俺はミントの背中を見た。

 ミントは立ち止まったまま動かない。

 振り向いてもくれない。

「……駄目なのか?」

「う、ううん……その、嬉しい」

 ……!


 突然、俺に命令する声が聞こえた。

(From カイ):『今だ、押し倒せ!』

 ……ってえええ!
 カイかよ! いつの間に見てやがったんだ!

(From カイ):『今から突き合……もとい付き合え!』
(To カイ):『あ、アホかー!!』
(From カイ):『冗談だ、とりあえずキスしておけ』
(To カイ):『“とりあえず”することがキスなのかよ!』

 い、いかん。ついWISに反応しちまった。
 もう外野は放っておこう。切っちまえ。

「あのさ、とりあえずこっち向いてくれないか?」

 返ってきたのは意外な答え。

「え……えーと、今は、その、無理」

 む、無理!?

「な、なんで……それって返事はNOってことなのか?」

「いや、あの、私もウサタンのこと好きだし、嬉しいんだけど、今は顔を見れないの」

 ど、どういうことだ?
 ……単に恥ずかしがってるだけか?

 俺はミントの肩に手をかけて、こちらを振り向かせる。
 そして、後悔した。

 その顔は、白い牙をむいたオークの顔だった。
 緑色の顔の中、赤い目がぎょろりと俺を見る。

 うわぁぁぁぁぁぁ!
 油で出てくる技のひとつ、オーキッシュフェイス!

「うわーん! だから今は無理だって言ったのに!」

 ミントが俺の反応に泣き出した。

「あわわ、わ、悪かった! それならそうと言ってくれれば!」

 でも、言われたら言われたで告白どころじゃなくなるか。
 泣きながらも、ミントは頬を赤らめている。
 俺も恥ずかしくて顔が赤いのが移りそうになってきた。
 まぁ、顔は緑色のオークなんだけどさ。

 それから俺は、ミントをなだめるのに苦労した。
 女心は難しいぜ……。



 という訳で、俺とミントは晴れて恋人同士になった。
 時々、カイに口を挟まれたり、ミントが同人誌に使うとかいって変なポーズとらされてデッサンされたりしてるけど。
 ま、仲良くやってる。



[>ひとまず、完。
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やおい学者セージちゃん(6)

 俺はリヒタルゼンの街をやおい女学者・ミントと二人で歩いていた。これからペア狩りに行く予定だ。

 アサシンギルドのカイからは『バレンタインデーにデートに誘え』とか命令されてたけど、そんないかにもチョコくれ! みたいな約束をとりつけるのは恥ずかしい。なもんで、バレンタインとは日をずらして、ミントを狩りに誘ってみた。
 今回は俺の意志であって、カイは関係ない。いよいよ告白しようと思う。

 いざ決意してみると、今まで普通にミントと話してたのに、今日はうまく会話ができない。

「今日はいい天気だな」

 ミントがウキウキした様子で答える。

「そうだね~」

 あ……会話、おわっちまった。

 あれ……俺、今までコイツとどういう話してたっけ?

 そう思ったら、今までの会話の内容とかが思い出せなくなってきた。
 なんか呼吸が苦しくなってきたし、歩きにくい感じもしてきた。

 お、落ち着け、俺。

 アサシンがこれくらいでビビってどうする!?

「ウサタン、右手と右足が一緒に出てるよ」

 ミントの言葉で俺はハッと我に返る。
 道理で歩きにくいと思ったぜ。

 ……いらん恥をかいてしまった。

「そうだ、ウサタンにコレあげる~」

 そう言ってミントが取り出したモノは、チョコレートの包み。

 こ、これはまさか!?

「一日早いけど、バレンタインデー」

 ちょ、チョコ!?

 もしかして……告白のチャンス!?
 よ、よし、今だ! 言うぞ!
 俺は意を決して深呼吸した。

 その途端に、街にいた女プリーストの会話が耳に飛び込んできた。
「言っておくけど、コレ、義理だからねっ」
 そう言いながら、相方らしい男にチョコを渡している。

 思わず俺は言葉を飲み込んだ。

 そうか。
 俺は重要なことを忘れていた。義理チョコの存在を。
 バレンタインにチョコをくれたからって、気があるって訳じゃないんだよな。
 ミントのコレは……単なる義理かも?

 だったら、チョコもらったからって脊髄反射で告白してもハァ? って感じだよな。
 どうする?

「ウサタン?」

 俺は我に返った。
 目の前ではチョコを差し出したまま、ミントが首をかしげている。

「ウサタン、もしかして、甘いもの苦手?」

 俺は慌てて、ミントの手からチョコを受け取る。

「あ、ありがとな! サンキュー!」

 家に帰ってからゆっくり食うか、と思ってしまおうとすると、ミントがそれを止めた。

「あ、あのね、ウサタン。今、食べて欲しいんだけど、いいかな?」

「ん? いいけど」

 俺は包みを開けると、ハート型の板チョコを口に放り込んだ。
 カカオの香りと甘みが口内に広がる。

「うん、うまい」

 俺の頭の上から、翼の生えたハートマークが飛んでいった。
 なんだこりゃ、と思ったら、どうやらチョコを食べると出る特別なエモーションらしかった。

「あ」

 ミントが顔を強張らせて俺を見ている。

 ん?

「悪ぃ。もしかして、ハートマークの記念写真撮りたかったのか?」

 うわぁ、そこまでは気が回らなかったぜ。
 一年に一回しかないイベントなのに、俺って奴は……。

「え、あ、そ、それもあるけど、ウサタン、銀紙も一緒に食べて……」

 あれ、本当だ。
 俺は銀紙を口の中から引き出した。
 道理で奥歯が染みると思ったぜ。

「まさか、一口で丸々食べちゃうなんて思ってなかったよ」

 ミントはひきつった笑顔で笑っている。

「悪ぃ。でも、サンキュー」

 今日は色々とタイミングが悪いな。
 緊張するとこうも調子が狂うものか?

 ん? ミントも心なしか気持ちが沈んでいるように見える。
 ……俺の喜びようが足りなかったのか?

 俺は気を取り直して明るく言った。

「チョコなんて貰ったことないから、嬉しくて気が動転しちまった」

「そうなの?」

「ああ。材料集めとか大変なんだろ? 実は俺、甘いモノ好きなんだ。本当、ありがとな」

「うんっ!」

 ミントはいつもの嬉しそうな顔に戻った。 おお、フォローが成功したようだ。

 ……と思って、しばらくたって見てみたら、ミントはまたちょっと表情が暗くなってる。

 分からん。何が悪かったんだ?

 もしかして、今日は告白とかせずに、狩りだけで済ませたほうがいいのか?
 思い悩んでいるうちに、目的の場所・生体研究所の地下1階に着いちまった。


 この狩り場の主食はリムーバだ。
 一次職のドッペルゲンガー達はちょっと手強いが、まとめて来なければ倒せる。
 前衛でなくとも、アルケミやセージでソロ狩りしている人もいる。

「リムーバは火が効くんだって」

 ミントがそう言って、俺の武器に火属性の魔法をかけてくれた。

「フレイムランチャー!!」

 赤い光が俺のカタールに宿る。
 うーん、ペア狩りって感じだ。

 俺がターゲットを取ってミントが魔法、といういつものパターンでモンスターを捌いていく。

 サクサク倒せていい感じだった。が。

 しばらく狩ってたら、女剣士がやってきた。
 俺はカタールを振り上げる。が……

 あれ?
 あたらねぇぇぇぇぇぇぇ!

 やべ、こいつ火属性か!

 それに気づいたミントが魔法を詠唱し始めた。
「ゴメン、属性かけ直す!」

 バキンッ。
 えっ。
 派手な音をたてて、俺のカタールが真っ二つに割れた。

 嘘だろ……こ、壊れた!?
 これって……もしかして。

「お、お前、さっきのスキルのLV、全部とってたんじゃないのか!?」
「え……2だけど」
「全部とらないと確率によって武器が壊れることがあるんだよ! 使っちゃ駄目だろ!」

「へっ……? でも、一度も壊れたことないよ!?」
「今まで壊れたことなくても、一応、壊れることがあるってことになってんだよ」

 てか、俺、武器がないと弱いんですけど!
 俺は裸の拳を連打したけど、こんなダメージじゃ倒せねぇ。

 剣士のマグナムブレイクに俺はあっさり倒れちまった。

「うっ、ウサタン!」

 ……うっ……俺、情けねぇ……。

「ハエで飛べっ、ミント」

 俺はそう言ったが、ミントは引かない。

「ウサタンの仇ぃっ! フロストダイバー!!」

 なんと、ミントは氷魔法と雷魔法であっさり倒しちまった。

「うさタン、大丈夫?」

 ああ、なんか……俺、弱いし、女に助けてもらって……情けねぇ。

「ウサタン、イグ葉で起こすよ?」

 あいつが起こそうとしてくれたけど、俺は自分が情けなくて、これ以上、狩りを続ける気分になれなかった。

「……俺、弱いな」

 心底、その言葉が出た。フォローのしようもない。

「そ、そんな……」

 俺は謝るのがやっとだった。合わせる顔がない。

「悪ぃけど、今日、調子悪いから引き上げていいか?」

「あ……う、うん……」

 ミントは弱々しく頷いた。

 情けない気持ちと、自己嫌悪でいっぱいだった。
 俺は精算アイテムは全部ミントに渡して、お礼の言葉を残し、セーブポイントに戻った。


「はぁ……」

 俺はモロクの自分の部屋で椅子に座り、テーブルに突っ伏していた。

 今日は告白どころか、ミントにひどいこと言っちまった。
 今までこんなことってなかったのに。

 目の前には、精錬所で直して貰ったカタールがある。見る度に、心がちくりと痛む。

 こんなハズじゃなかったのになぁ。
 俺はまたため息をつく。

 さっさと仲直りしないと、と思うものの、ケンカしたり告白できなかったり緊張してたりで、今日はもうぐったりだ。

 今夜は寝てスッキリして、ミントに謝るのは明日にするか。
 俺はベッドに潜り込んだ。



 翌日。

 日が高くなった頃に目覚めた俺は、昨夜と同じ調子で、机の上に突っ伏していた。

 仲直りの言葉とか考えてたら、目が冴えて寝れなかったぜ。

 俺はのろのろと出かける準備を始める。ふと、ポケットの中に何かが入っているのに気付いた。
 昨日もらったチョコの包装紙と銀紙が丸めて突っ込んであった。

 あーあ、せっかくもらったチョコなのに、昨日の俺はこんなにグシャグシャにしてポケットに入れちまってたんだな。

 いかに昨日の自分に余裕がなかったかを思い知り、俺はテーブルの上で包装紙を丁寧に引き延ばして折りたたんだ。

 もしかして、ミントの調子がおかしかったのはこーゆーぞんざいな扱いを見て傷ついたとか?

 そう思いつつ、次に銀紙を折りたたもうとして、俺はあることに気がついた。

 チョコを包んでいた銀紙に、何かが彫ってある?

 いや、彫ってあるんじゃない。
 恐らく、チョコの模様に沿って銀紙が凹凸になっていて、それがレリーフのごとく浮き出ているっぽかった。
 銀紙ごと食べちまったから模様なんてほとんど分からないが、凝ったものを作ってくれてたんだな。そりゃ一口で食べてガッカリもする……か?

 ……ん?

 俺はテーブルに銀紙を引き延ばし、まじまじと見つめた。

 なんか、模様じゃなくて文字の跡に見える。チョコにメッセージでも入れてたのか。

 えーと、読める文字があるな。
 「タン 好 き」みたいな。

 !?

 これは……。

 ミントはタンが好き!
 よし、仲直りはフェイヨンで本場の焼き肉だ!

 ……なんて無意味なメッセージをチョコに彫るわけがない。

 俺は全身がプルプルと震えてきた。

 ひいき目に見ても、
「ウサタン 好き」
 じゃないのか?

 俺は。

 俺は……告白もできず、狩り場でも守れなかった挙げ句にケンカして、女の子に告白までさせちまったのか?

 ちきしょう……ミントに会わねぇと!

 俺は慌ててモロクを飛び出した。


[> しょんぼりとつづく
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クルパラ劇場その3 不人気職と呼ばないで

web拍手 おまけSS

・パラ娘=クリス。槍パラディン。趣味はファッション(ただし下着のみ)。

・クルセ娘=アルフィーリア。献身GXクルセ。趣味は精錬と修練。




 クリスがクルセイダー女子寮の自分の部屋に戻ると、ルームメイトの机の上には山のようにプレゼントの箱が詰まれていた。ふと、一足遅いクリスマスプレゼントかと思ったが、今日が彼女の誕生日であることに気づく。



「あー忘れてた、悪い。今から私も誕生日プレゼントを買ってくる」

「あ、いや、気を遣わなくていいぞ」

「そういう訳にもいかん。んー、プレゼントの定番っつったら、ひかりものか?」



「ひかりもの? ……寿司か?」

「なわけないだろ!」



 クリスは思わず相方にツッコミを入れたが、反応はない。本気で言ったようだ。



「ひかりものといったら、ほら、あれだ」

クリスは指輪をイメージして親指と人差し指で丸をつくる。



「ゼ、ゼニー!?」

「いや、金でもなくて」



 アルフィーリアは考え込む。

「……うーむ。ああ、そうだ、ひかりものといったらあれか」

「分かったか?」



 アルフィーリアは壁に立てかけられたクリスの槍コレクションを指さした。



「武器のことだな!」

「なわけあるかー!」

 腹にツッコミを入れると、女の子らしい肌触りとはほど遠い、引き締まった腹筋の弾力が帰ってきた。



「指輪とかアクセサリーのことを、世間ではひかりものと呼ぶのだ」

「あ……ああ、なるほど」



「お互い縁遠いな……」

「そうだな……」



 しけった空気を吹き飛ばすようにクリスが明るく言った。

「ようし、プレゼントに勝負下着を買ってやろう」

「そ、それは遠慮しておく」



「お前、この間はせっかく店に連れてったのに何も買わなかったじゃないか」

「いや、使い道が……」



「普段使いでおk」

「ちょっとそれは……」



「でだ。それで、ブラジャーのサイズはいくつだ?」

「……」





[>その4へ
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クルパラ劇場その2 持つ者と持たざる者

web拍手 おまけSS かなり下品め

・パラ娘=クリス。槍パラディン。男勝り。趣味はPVP。

・クルセ娘=アルフィーリア。献身GXクルセ。生真面目。趣味は人助け。




 雪が静かに降り積もる夜、クリスがクルセイダー女子寮の自分の部屋に戻ると、ルームメイトのクルセ娘・アルフィーリアが、裸にタオルを巻き付けた姿で突っ立っている。石鹸のいい香りが部屋に漂っている。髪が濡れているし、シャワーを浴びた直後のようだ。

 何をしているのかと思ったら、体重を量っている最中らしい。



「ただいま。どうした、太ったか?」

「あ、いや……」



 近寄ると、図星だったのか、慌てて体重計から降りた。



「まぁ待て。私がすぐ体重の減る方法を教えてやろうじゃないか」

「本当か!?」

「ああ。まぁ、体重計に乗ってみるんだ」

 アルフィーリアはおとなしく体重計に乗る。



「ちょっと触るぞ」

 クリスは前置きして、アルフィーリアのたわわな胸を下から持ち上げる。



「ひぃっ……く、クリス殿、何を……」

「そのまま動くな」

「う、動くなと言われても……」



 赤面するクルセ娘をよそに、パラ娘は冷静かつまじめに言った。



「……うーむ……体重計を見てみろ」

「……え……あ……5キロも減って……」

「うむ。つまり、お前の本当の体重はマイナス5キロということだ」

「い、いや、しかし、私は胸だけで5キロもあるということで、結局は私の身体じゃないか」



「おっぱいは男の浪漫だ! 5キロの体重くらい!」

「お、男の浪漫!?」

「そうだ、こう……パイズリできるくらい欲しいな!」

「ぱ、パイズリって何だ?」



 クリスはジトッとした目でアルフィーリアを見る。

 しかし、本人は至って真面目な顔だ。本当に知らなさそうなので偉そうに説明する。



「パイズリってのは、おっぱいで男のアレをはさんでフェラチオすることだ」

「え!? ……ええと、フェラチオって何だ?」



 クリスはさらにジトッとした目で見た。

「本気か! お前はその歳で本気で言ってるのか!」

「うっ……」

 アルフィーリアがたじろぐ。

 しばらく考えて、クリスに言う。



「もしかしてそれは、エッチな言葉なのか?」

「いやもう、それはそれは」



「では、後で辞書をひこう」

「載ってないと思うぞ。よし、私が手本を……」



 じりっ、と近寄るクリスにアルフィーリアが後ずさる。



「一度お前の胸を拝借したいと思ってたんだよなー」

「な、何を……」

「でかすぎて特注の鎧まで作ってもらうほどのおっぱいってどんなんだろうなー」

「ぐっ……。わ、私が気にしてることを知っている癖に! ひどいじゃないか!」



「持つ者には分からぬ、持たざる者の悩み……!」

「わ、私だって肩が凝るし変な目で見られるしかわいい下着はサイズが合わないし大変なんだぞ!」



 クリスはふと我に返って聞いた。

「そういやお前、下着のサイズはいくつだ?」

「……いいじゃないか、そんなこと」



「知りたいなぁ。今度かわいい下着を買ってきてやるから」

「……あのお店でエッチなやつを買うんだろう」

「馬鹿いえ、ああいうお店はむしろお前向けのサイズが色々揃ってる。多少エロいくらいで何だ」

「必要ない! これ以上聞いたら怒るぞ!」



 どうやら逆鱗に触れたようなので、クリスはちぇっと言ってその場は退いた。



 アルフィーリアは背中を向けて寝間着に着替え始める。

 名残惜しそうに、その姿をクリスはオヤジのような目でジロジロと眺めていたのであった。





[>その3へ
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